様々な事情から、銀行からの融資を受けられずにお悩みの企業さまから、ご相談をいただきました。
その企業さまが新たな銀行と面談することになり、「ぜひ同席してほしい」とのご依頼を受け、あくまでも補助的な立場ではありますが、同席させていただきました。

最初は担当者の方が来社され、社長からの説明を受けながら、事業内容や財務状況について、不足している部分を補足する形でお話を進めました。
ただ、担当者の表情は終始硬く、正直なところ「今回は厳しいかもしれないな」と感じていました。

すると後日、その担当者から
「支店長が一度お会いしたいと言っています」
という連絡をいただきました。

元支店長の経験から言えば、少なくとも支店長が直接会いたいと言うのは、前向きに検討している可能性が高いサインです。
新規取引先をお断りするためだけに、支店長自らが出向くことは、まずありません。

そして支店長との面談にも、社長に同席させていただきました。
その席で支店長は、開口一番こうおっしゃいました。

「中西さんって、『地銀支店長という仕事』を書かれた方ですよね。
数年前、私が支店長になったときに読ませていただきました。」

思いがけない言葉に、その場の空気がふっと和み、その後の話も驚くほどスムーズに進みました。
結果として、無事に融資は実行されることになりました。

もちろん、今回の融資が実行された最大の理由は、企業さまご自身の前向きな取り組みがあったからこそです。
ただ、少しだけ手前味噌な見方をするならば――

「厳しい状況ではあるけれど、この外部の専門家がついているなら大丈夫かな」

そんなふうに感じていただけた部分も、あったのではないかと思います。

銀行は「人」をとても大切にし、よく見ています。

融資審査の基準は多岐にわたりますが、特に地方銀行や信用金庫では、
「この社長なら、きちんと返してくれるだろう」
という感覚が、実際に判断に影響することがあります。

昔、私が仕えていた支店長の話です。
可否判断に迷う案件を相談した際、支店長からは
「財務内容は君らがちゃんと見てくれていると思うからええけど、その社長、どこに住んでるんや？」
とだけ聞かれました。住所を伝えると、
「ああ、その地域の人なら大丈夫やろ」
と、それでOKが出たこともありました。

銀行は、その社長自身がどうかということも当然ながら、
「誰がサポートしているのか」
という点も、銀行にとっては一つの安心材料になるのです。

また、銀行との面談は、企業さまにとって少なからず緊張を伴うものです。

だからこそ、コンサルタントが入ることで、

• 事業内容を整理して伝える
• 財務状況を分かりやすく補足する
• 改善に向けた取り組みを一緒に説明する

といったサポートができ、話が前に進みやすくなることがあります。

今回のケースは、そうした「寄り添い」が、少しだけお役に立てた一例だったのかもしれません。

これからも、企業さまと銀行との間に立ち、
少しでも安心して前に進めるよう、お手伝いをしていきたいと考えています。

よろしければ、一度ご相談ください。