5.銀行の信用格付の仕組み
ここからは少し難しくなるかもしれませんが、とても重要な項目です。なるべくわかりやすく説明していきますね。
「信用格付」とは、簡単に言うと「融資先の信用度に応じて分類を行う制度」です。
この信用格付が一段階下がるだけで、融資審査は一気に厳しくなります。
銀行は融資先に対して、新たな決算書ができると提出を要求してきます。昔銀行員をしていた頃に「今、追加で借りるつもりもないのに、なぜ決算書を見せなきゃいけないの?」と言われて困ったこともありました。
銀行は、融資先の財務状況と融資金の内容(保全割合等)により、貸倒引当金を積んでいます。一般の企業が売掛金などの債権に対して一定の割合で貸倒引当金を積んで費用計上しているのと一緒ですね。
企業の新たな決算書が出ると、それに基づき信用格付を見直し、貸倒引当金の額を算出し直します。財務内容が悪化すれば貸倒引当金の額を積み増ししなければならない、ということです。
新たな融資の申込みがなくとも、融資取引がある以上決算書を提出し続けなければならないのは、そういう理由からです。
(1)債務者区分
かつては金融庁の「金融検査マニュアル」というものがあり、それに基づいて銀行は信用格付をしていたため、ほぼどこの銀行も運用は同じでしたが、現在は廃止されており、銀行ごとに異なっています。
しかし、おおまかに次の通りと理解していただいていいと思います。
銀行は、企業を以下の「債務者区分」に分けます。
債務者区分 貸倒引当率(あくまでも一般的な目安)
正常先 0.2%
要注意先 2.0%
要管理先 15.0%
破綻懸念先 64.0%
実質破綻先 100%
破綻先 100%
①正常先とは
「財務内容に問題がなく、経営状況が良好と判断される企業」です。
正常先の中でも決算内容により、6ランク程度に分類され、原則としてそれにより金利などの融資条件が変わってきます。
②要注意先とは
「財務内容が不健全、経営状況が低調で、今後注意を要する企業」です。
具体的な例をあげると次の通りです。
なお、以下の「黒字・赤字」は、営業利益および経常利益です。
・2期連続赤字計上、債務超過なし、繰越損失なし
・債務超過なし、繰越損失あり
・黒字計上、債務超過あり
・3か月未満の延滞あり
③要管理先とは
分類として正確に言えば②の要注意先の中に含まれるのですが、その中でも「3か月以上の延滞や金利減免、貸出条件緩和(いわゆるリスケ)債権のある企業」です。
④破綻懸念先とは
「経営難の状況にあり、経営破綻に至る可能性が高い企業」です。
具体的な例をあげると次の通りです。
・赤字計上、債務超過あり
・3か月以上6か月未満の延滞あり
⑤実質破綻先とは
「法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、破綻に陥る可能性が大きいと認められる企業」です。
具体的な例をあげると次の通りです。
・手形、小切手の第一回不渡りが発生した企業
・預金・不動産に対して差押え等があった企業
・6か月以上の延滞あり
⑥破綻先とは
「法的・形式的な経営破綻の事実が発生している企業」です。
具体的な例をあげると次の通りです。
・自己破産や民事再生等の法的手続きに入っている企業
・手形交換所の取引停止処分を受けている企業
(2)貸倒引当率
上に債務者区分ごとの貸倒引当率を書きました。これはその企業への融資金全額が対象になるわけではありません。
預金担保や保証協会保証は、「優良保証」とみなされ、原則100%引当の対象となりません。また不動産担保や一般保証(一般の保証会社等)も一部引当の対象となりません。不動産担保については、評価額に一定の掛け目(70~80%程度)をかけて算定され、不足部分は無担保として扱われます。
それらを除いた融資金に対して、貸倒引当金を計上する、ということです。
銀行は決算書の数値等をもとにして、究極は「回収できるか」で企業を評価しています。
では、例えばあなたの会社が「要注意先」であった場合、あるいは「破綻懸念先」であった場合などでは、銀行の融資スタンスはどうなるでしょうか。
ここは、本ブログのテーマである、「銀行融資が通る会社・通らない会社の違い」の根本的な部分になってきます。
次回、「⑥信用格付で正常先以外になったらどうなる」で詳しく解説いたします。








