4.損益計算書で銀行が見るポイント
まずは実際の損益計算書のイメージをご覧下さい。

今回は、決算書の損益計算書で銀行が見るポイントを解説していきます。
損益計算書は、企業の活動による一定期間の利益をあらわしたものです。銀行は損益計算書を見る際、単に利益が出ているかどうかではなく、「その利益で借入金を返済できるか」という視点で評価しています。
(1)営業利益と経常利益
利益に関する指標がいくつかある中で、「営業利益」と「経常利益」が黒字か赤字かで銀行の評価は大きく異なってきます。
これは、本業部分にかかる利益が黒字か赤字かということを重視しているものです。例えば仮にそのいずれもが黒字であったが、特別損失で多額の役員退職金や固定資産除却損を計上し、当期利益が赤字となったとしても、銀行はあまり問題視しません。
社長にとっては、税金の支払額や当期純利益額は重要です。しかし銀行の評価は、当期純利益よりも、営業利益および経常利益の水準を重視します。
ただし、多額の特別損失を計上し、繰越損失が発生した場合は、前回に貸借対照表の回で述べたように、翌期の評価に影響してくるということは、覚えておいて下さい。
また償却限度額まで減価償却をしていない場合は、要注意です。例えば営業利益が100万円の黒字であっても、減価償却不足が300万円ある場合は、200万円の営業赤字とみなされてしまいます。
(2)税引後償却前利益
決算書に直接記載されませんが、「当期純利益(税引後当期利益)」に減価償却費を足した「税引後償却前利益」という数値を銀行は重視します。
これは、融資に対する返済能力を見るための指標です。
中小企業の場合、銀行が「キャッシュフロー計算書を下さい」というケースはあまりありません。この数値で簡易的に判断しているためです。
例えば税引後償却前利益が7,400千円、現在の借入の年間返済額が6,000千円である企業が新規に10,000千円・5年分割返済の融資申し込みをした場合、新規分の年間返済額は2,000千円となり、既存分と合計すると年間返済額が8,000千円となります。
この年間返済額が8,000千円は、7,400千円の税引後償却前利益を上回ってしまいます。この状態を「利益償還できない」と言います。減価償却費というのは、キャッシュアウトする費用ではないのでそれを加味するが、それでも利益の中から返済ができない、ということなのです。
ただし、利益償還できなければ、即融資が受けられない、ということではありません。決算全体の状況や足元の業績等々、様々な要素で総合的に判断されます。
また融資のやり方に問題がある銀行も中にはあって、「足りなくなったら長期融資」を出している間に、融資の口数が増えてしまって、毎月の返済がきつい、という企業もあります。
これについては、別途「経常運転資金」の回に詳しく解説します。
(3)売上高総利益率(粗利率)、営業利益率、経常利益率等
これらは収益性の指標です。単年度の数値がどうであるかということに加えて、これらの数値が過去数年に比べてどうであったのか、同業他社比でどうなのか、というのを銀行は見ています。
例えば粗利率が悪化している原因は何なのか、それを社長が理解しているか、それに対してどういう手立てを講じているのか、第2回でも述べましたが、それらを明快に説明できる社長には、銀行は高い評価をします。
おおまかな部分では以上ですが、貸借対照表と損益計算書から、「収益性」「安全性」「流動性」「成長性」「労働生産性」などの指標が算出できますので、それら全てを総合的に銀行は評価します。
詳しく知りたい、自社の決算書を評価して欲しいという方は、「お問い合わせ」ページまたはお電話にて、お気軽にご相談下さい。
次回は「銀行の信用格付の仕組み」について解説いたします。








