京都の紅葉 ― 色彩の移ろいに思うこと

銀行員時代、全国によく出張されるお客様がいらっしゃいました。
その方がよくおっしゃっていたのは、
「桜は地方にも素晴らしい場所が多いが、紅葉は京都が日本一だ」
という言葉です。
その言葉に触発され、10年ほど前、休日に京都の紅葉スポットをいくつもはしごして歩きました。
京都の紅葉には、紅葉そのものの美しさに加え、「その場の景色全体と調和した“空気ごと味わう美”」があります。
どこも大変美しかったのですが、私個人の好みで順位をつけるとすれば、
1位:毘沙門堂
2位:永観堂

でしょうか。
________________________________________
毘沙門堂 ― 静寂に宿る、凜とした赤の世界
毘沙門堂は、決して大規模な名所ではありません。紅葉の本数も多くはないのですが、だからこそ静けさの中に凜とした気配が宿っています。
幅広の石段には、両側の木々からそっとこぼれ落ちたもみじが降り積もり、足元を柔らかく包むように真紅の絨毯が敷き詰められています。
風が吹けば、ひらり、ひらりと舞い落ちる一枚一枚が冬の訪れを告げ、初冬の澄んだ空気と相まって、訪れた人をどこか別世界へといざないます。
華やかさと儚さが同居するその光景は、時間の流れがふっと緩むような、心を洗い流す静かな美しさがあります。
________________________________________
永観堂 ― 色彩が奏でる、秋の錦絵
永観堂の魅力は、まずそのスケール感。境内の至るところで紅葉が迎えてくれます。
そして何より印象深いのは、色彩のコントラストです。
燃えるような深紅と柔らかな橙、その端々にわずかに残る青緑が重なり合い、季節の移ろいを閉じ込めたかのような幽玄の色調を生み出しています。
その彩りはまるで自然が丹念に描いた一幅の絵画のようで、思わず足を止めてしまうほどの美しさです。
________________________________________
紅葉が教えてくれる、企業の「色」の活かし方
今年は少し見頃が遅れているかもしれませんが、機会があればぜひ京都の紅葉をご覧になってみてください。きっと心に残る時間になると思います。
自然の移ろいに身を置くと、ふと「企業や事業もまた季節のように変わり続けるものだ」と感じます。
どんな環境でも、その場に応じた美しさを引き出す京都の紅葉のように、企業にもそれぞれ固有の“色”や“強み”があります。
そしてその魅力は、どこに光を当て、どう磨き、どう見せるかでまったく違う表情を見せます。
私自身、コンサルタントとして日々お客様の可能性を探し、整え、活かすお手伝いをしていますが、京都の紅葉を眺めながら改めてその大切さを思い返しました。
企業が持つ“色”を最大限に引き出すこと。
それが私の仕事であり、またこの季節に感じた気づきでもあります。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/kiminoko10/kiminokoto.com/public_html/wp-content/themes/lotus_tcd039/comments.php on line 155

PAGE TOP