銀行融資が通る会社・通らない会社の違い(第12回) ― 元銀行支店長が実務で徹底解説 ―

12銀行の融資判断基準(銀行固有の事情)~なぜ銀行によって対応が違うのか~

銀行は同じように見えて、実は「考え方」も「融資スタンス」もかなり違います。
「A銀行に融資を申し込んだが断られたのに、B銀行に申し込めば融資が受けられた」というようなケースがあります。つまり、「A銀行で断られた=どこも融資不可」ではありません。
それには以前書いたように「メイン行であるのかサブ行であるのか」、といった理由等の他に、銀行固有の事情の違いがあります。
今回は、それらについて解説したいと思います。

1.銀行の種類の違い(メガバンク・地銀・信金)

ここは、あくまでも実際に現場を行ってきた者の私見としてとらえて下さい。
メガバンクは、「収益」を最重要視しています。「収益」に対する意識の違いは、地銀や信金とは相当大きい差があります。
従ってメガバンクの場合は極端に言うと、500万円程度の融資に対しては「あえて積極的にやらない」ということは起こりえます。自動判定で審査しているような小口の事業性資金融資は、「膝を交えた相談ができない」ことも起こります。

一方で地銀や信金は地域密着が生命線なので、小口融資でも丁寧に対応してくれる傾向があります。

なお、メガバンク・地銀・信金の違いや銀行との付き合い方については、拙著『中小企業の社長さん、あなたの取引銀行はこんなことしてくれてますか?』でも詳しく触れています。

2.銀行ごとの得意分野や方針

(1)得意分野
銀行には伝統的に独自の「得意とする業種」があります。例えば製造業に強いとか不動産業に強い、とかいったことです。また地銀や信金は地場産業界とのつながりがありますので、そういった業種は他の銀行より柔軟な対応をすることがあります。
得意とするということは、それだけ固有の分析能力・手法を持っているということです。

(2)方針
銀行全体の「今期の方針」等により、特定の業種や信用格付先に対しての融資を強化する、ということもあります。「急にあの銀行は積極的になってきたな」というようなケースです。

また、例えば「100億円、金利:1%、期間5年、無担保」という融資条件の枠を作って、一定期間で集中的に融資の増量を図る銀行があります。その際にはかなり積極的なスタンスで融資の売り込みを行います。

銀行本体の収益状況によって、リスク許容度が違い、融資に対するスタンスが変わることがあります。
つまり、「このままでは今期赤字になってしまうので、収益を積み上げる必要がある」という銀行は「高めの金利を出せるのなら、多少リスクを取ってでも融資する」、といったことは起こります。
「多少金利は高いが、比較的柔軟に対応してくれる」と言われる銀行があるのは、こうした背景も一因です。

3.支店・支店長による違い

銀行の各支店のおかれた環境や状況によって、注力・強化すべき業務が変わることがあります。例えば預かり資産販売に注力して、融資量増加は二の次にするという支店は、どうしても相対的に融資には消極的になります。

また、支店長によってもリスク許容度の違いにより、融資スタンスは大きく変わります。「多少リスクのある先にでも、とにかくどんどん融資を増やしていこう」というタイプの支店長もいれば、「倒産して融資が回収不能となれば経歴にキズがつくので、回収不能先を出したくない」というタイプの支店長もいます。
「支店長が替わってずいぶんと方針がかわったな」というのは、そういうことです。

4.担当者の力量の違い

実務上、「担当者が違えば結果も変わる」ということは、残念ながら実際にあります。
同じ銀行でも、「〇〇支店に融資相談に行ったら窓口で冷たい対応でできないと言われたのに、△△支店では親身に聞いてくれて融資を受けられた」ということもあります。またそこまでいかなくとも、「前任の担当者は、融資を申し込んでも回答にいつも1か月以上かかっていたのに、新しい担当者になってから3日で回答が出るようになった」ということは、しょっちゅうあります。
担当者によってそういうことが起こるのは事実です。
担当者自身の能力や姿勢の問題とともに、支店内でそれをフォロー・カバーする体制が出来ていないこと自体も問題です。

5.県外進出の地方銀行

地元の都道府県外に支店を出している地方銀行は、その支店では元々の地方銀行があるので、同条件の融資提案をしていっては、融資が伸びません。
したがってそのような支店では、リスクのある先に対しても融資をしたり、あるいは低金利や担保条件を他行より緩和した条件提示をしてくることが多いです。
実際に私のクライアントで、地元銀行では難しかった無担保プロパー融資を、他府県の地方銀行で融資してもらったケースもあります。

いかがでしたでしょうか。ひとつの銀行から融資を断られたとしても、全ての銀行から融資を受けれないとは限りません。銀行ごとの特性を理解し、適切なアプローチをすることが重要です。
資金調達や銀行対応でお悩みの方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談下さい。初回は無料でご相談を承ります。

今回の説明はここまでです。次回はいよいよシリーズのまとめとなる、「⑬(総括回) 銀行融資は結局どのようにして決まるのか?」を解説いたします。

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